バイオマス事業の秘訣!教えます!(第二回放送)
音声はコチラ- 大串
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今回は「地方創生の奇跡!!岡山県の西粟倉村のバイオマスを見に行ってきた!」と題して、お送りします!
- 徳田
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実は、私たちが取材に行った日も、他県の自治体の方が、西粟倉村を視察に来ていたんですよ!
- 大串
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バスでね!
- 徳田
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しょっちゅう来る…と、上山さんもおっしゃってました!
- 堀
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しょっちゅう!
- 徳田
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他県の自治体の方から、毎回こんなことを聞かれるんだろうな~ということを
私たちもズバリ!聞きたいことを聞いてみました!
なんで!そんなに企業や人が集まってくるのか?
上山さんに聞いてみました!
- 堀
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たしかに!興味ある!
何でそんなに企業や人が集まってくるの?
- 大串
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でも、ベンチャーを呼ぶのって難しくないですか?
- 上山
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そうですね!
自治体がやってもダメですね!
自治体がやっても届かない。西粟倉村は、「森の学校」という会社から分社した「エーゼロ」さんという会社が
インキュベーションとか、移住定住とか、メディアとか、そういう事業をやっているんですけど…関係性の作り方が、自治体と民間だと、全く違うんですよ。
僕らは、中間支援組織と呼んでいるんですけど、
自治体と、向こう側にいるベンチャーとか、そういうものをつなぐ仕組みとして、
民間との組織と、情報発信の高い仕組みが出来上がらないといけない。
ベンチャーと自治体を直接結びつけるのは非常に難しいです。自治体がやっても人が集まらないけど、同年代の人がいる民間の組織が同じ目線で、呼びかけると集まる。
うまくいってるところは、必ず間に民間の組織があって、そこが一所懸命にやってます。
自治体は、支援しているだけ…というか、プロデュースしているだけですね。それと、西粟倉が恵まれていたのは、
そういう中間支援組織となり得るような企業が、一社しかなかったから
随意契約のような形で、安定的にできるわけですよ。
ですが、大きな自治体になると「入札やれ」みたいな話になるじゃないですか?苦笑
そうすると大手の会社…コンサルさん…みたいな形になるので…
そこは、自治体の規模感で難しいですよね。地方創生っていう言葉があって、
それに伴う事業も、いまやっておりますけど、
お金が、国から取って来ても、
東京の『〇〇総研』と言われるような民間の大手コンサルに仕事をお願いしたら
そのまま、お金が東京に流れいきますよね?西粟倉の場合は、地域の中に、
そういう組織を作ってますから、取ってきたお金は、そのまま地域に落ちますよね。
それが、そのまま地域に循環するので、
『経済の乗数効果があがる』ってことになるんですよ!で、移住してくる人も、そこに仕事があるので、
そこに定着しやすい。
人口の維持にもつながる…っていう色んなメリットを享受できる仕組みを作るのが大事。そこが、大きな自治体になると
色んなしがらみがあって難しいってことはあると思います。
- 徳田
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ここまで上山さんが、包み隠さず話してくれていれば、
それを聞いた自治体の方々は、真似することが出来て、成功できるのかな?と
思いきや…成功事例ってなかなか無いじゃないですか!
西粟倉のすごいところですよね!
- 堀
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そうですね…
僕は、この上山さんのパワーは大きいと思っていて…
やっぱり役場って大変なんですよ!
議会と調整したりとか、村長の思いでも色々変わりますし、
でも、そういう中で、西粟倉が、ここまで変容をとげた一番の理由は
『村民が選んだ』っていうね。
村長とか町長が、上から下に、命令したモノではなく、
我々がやるんだ!となったところに…じゃあ役場が頑張るぞ!…と!移住者と地元の方とのちょっとした、すれ違いみたいなモノも、
役場の方が間に入って取り持ったり…とか、本当に現場からあがっていく改革…っていうところは大きかったと思う。やっぱり、東京や中央都市主導の地方創生は、紋切り型になっちゃうんですよ!
よくありがちで…ノウハウが無いから、どこどこに頼もう。。。ってなったら、
当然、どこどこの大きい会社さんは、ノウハウを持ってますから。じゃあ、もう効率良く、
あそこの村と、ここの街と、同じような手法で仕掛けていく…
気づいたら、全部同じようなポスターが並んでる!
そういうことありません?一同:あるある!
全然地域の特色とかじゃないじゃん!
って、西粟倉の成功との違いはそこらへんだと思います。
- 大串
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なるほど
- 徳田
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大串さんはいかがでした?上山さんに実際に会って?
すごい目がキラキラしてましたけど
- 大串
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上山さんはねえ…
やりたかったことだったんだと思う。
西粟倉の改革…来た!と思ったんじゃないかな?
- 堀
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公務員の鏡ですよね
ホントに有難い存在だと思います。

バイオマス発電と小水力発電の取り組み。
- 徳田
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私たち、色んな施設を見学させてもらっていたんですが、
役場の向かいに木造の新しい庁舎を作っていたところだったんですよ!
- 堀
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きましたねー!
だいぶ出来てました?
- 大串
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ねっ!基礎はできてて、上物を作っているくらいでしたよ!
- 堀
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見たいなー!
- 徳田
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その隣には図書館を作ってましたね!
- 堀
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いいなあ!!
- 大串
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保育園は出来てましたね!
- 堀
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保育園ね!すっごくあたたかい木材の可愛らしい保育園でしたよね!
だって、ビックリしたのが、
普通は、過疎、高齢化、少子化!
逆だもん!保育園を作らなきゃいけなくなっちゃってんですから!
- 大串
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そうですね!園児も楽しく遊んでましたよー!
- 徳田
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その保育園の暖房設備は、バイオマスの発電施設から
引いたモノを使っていると、伺いました。
今回の本題でもある、バイオマス発電、小水力発電について、
上山さんに聞いてみました!
- 上山
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熱エネルギーや電力っていうのは
多くの自治体は、自社にないから、外から買いますよね?それは、とても莫大な費用になるんですけど
その一部だけでも、地域内の循環に切り替える。
例えば、ウチの場合だと、スギやヒノキの、捨てられてる部分だったり、
商品化したモノの残りのカスの部分だったり、
それが、燃やすことでエネルギーに変わる。ウチくらいの
3つくらいの温泉規模のところでも、1年間に1600万円というお金が
地域の中で回るんです。
で、コレの大きなところは、
温泉施設で働いている人は、地域の人なんで、
その人の給料になります。
また、その給料をもらった人が、地域の商店で物を買う。
この連鎖の仕組みが非常に重要です。一方で、小水力発電は、そんなに雇用を生みません。
ご覧いただいたように、
24時間、水がある限り、機械が動くわけで…
なんだけど、『外貨の獲得手段』としては非常に有効です!今は、FITの制度というのあるので、
コレを活用しない手はないですね。
- 徳田
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発電した分が売れるからですね!
- 上山
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しかも森林整理が進めば、
河川に流れる量も安定するので、稼働も安定します。
それを有効に活用する。
で、それで得られた売電収入を、
さらなる再生可能エネルギーだとか、新しい森林管理の費用に使っていけば、
住民のみなさんの税金を使わなくても、特殊な事業が出来る…ということなので、非常に大きいです。将来的には、仮にFITが終わったとしても、
地域の中で、いかに電力事業をつくる。
いま、外部に依存しているモノを内部に作るだけなので、
地域のレジデンスも高まりますし、非常に有効な手段だと思っています。

また新しい投資に回していく。
- 堀
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話を聞いていて、すごく効率的にやっていて、
すごいなーと思いました!
これ、でも経営者の一人として、大串さん、いかがですか?
- 大串
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小水力発電は、昔から村にあったそうなんですよ。
それを改修して、村の歳入の7~8割を占めるくらいの大きな発電設備を作った。これが財政再建の秘訣だったんです!
- 堀
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は~!すごい!
でも、日本全体を見渡した時、
日本は、どうしてもエネルギーというのが、ずっと悩みだったんですよね。輸入したり何なり、
事故を起こしながらも、原発の運転と向き合ったり…してきた訳で…そういう中で、
『地域の電力は地域でやるよ!』って!
これが、まさに村にエネルギーを与えるっていう!
- 大串
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いいこというなあ…(しみじみと)
一同:笑
- 堀
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まさに、活力そのものだな…と!
エネルギーの地産地消って、難しいことですけど、
それを成功させてるんですよね。
- 大串
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村を一つの経済圏としてみると、
石油を買って、外貨が出る…というのが
とても、大きな支出だったみたいなんですね。コレを自分で作ることによって、
支出を止める…コレで村が成り立った。
- 堀
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うーん。。。
でも、バイオマスって、随分昔から、それを活用しましょう。って言われてましたけれども
なかなかここまで、成功する例って、まだ数えるほどなのかなって思うんですけど、
何がそこまで、西粟倉のバイオマスの仕組みが良かったのかなっていうのは、すごい興味を持っているんですよね
- 大串
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これはですね。まず、木材を流通する仕組みを、村が整備した。
コレが大きいですよね!
仕組みを整備すると、それを使う人たちがいっぱい集まってくる。
なおかつ、使う人が集まると、要らないモノが出て来て、それをまた熱に変える。そうすると、ドンドンドンドン木材を作る人が増えてくる。
- 堀
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なるほどー。それはいいでしょうね!
自分が切り出したモノが、お金に変わっていくっていうのは!参加したくなりますよね。
『なんとかゴー』をスマホでやってチャリンチャリンしているみたいな(笑)
- 大串
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また、さらに、
木材の専門家や、興味がある若者が、ドンドン集まってきているみたいです。
- 徳田
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そういえば、
新たなバイオマス施設を作っていくって
上山さんおっしゃってましたね。
- 大串
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このボイラー設備がカッコいいんだよ(一同笑)
イタリア製の設備で、
かっこいいですよ!
- 堀
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やっぱりデザインの力はポイントですね笑
西粟倉村:今後の課題
- 徳田
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今後、エネルギー自給率100%を目指しているんですか?
- 上山
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目指しています!
- 徳田
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可能なんですか?
- 上山
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可能というか、目標ではあります。
例えば、電力需要ですと、
いま、水力発電が3機目をいま作っているんですけど、
コレが出来上がると、
西粟倉村内の、全ての電力量の1/2を作ることが出来ます。あと、バイオマスがありますので、
設備を増やしていけば、ほぼ100%地域内で作っている状態にするのは
十分考えられます。
- 徳田
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今後の課題というのはありますか?例えばバイオマスにおいてとか?
- 上山
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バイオマスの場合は、
小さなバイオマスの設備において、
そこに携わる人に左右されることが多い。
経験や蓄積されたノウハウによって、効率化する要素が大きいので、
ウチの場合だと、(株)村落さんのようなホントに専門でやりたい…という方々を
ちゃんと育てて、安定稼働まで3年までかかるので、その間に知見を積んでいく…というのが大事なんです。
人の問題というのが、課題ですね。あとは、前もお話ししたように、
森林の整備から始まって、計画的に20年とかそういうスパンで、
バイオマスの施設を運用し続ける。今まではそれがやってこれましたが、その維持が課題です。

- 徳田
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仕組み作りが、ほんとにしっかりと計画されている印象でしたよね!
- 大串
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とっても大きな貯木場があって、
なかなか、個人や個々の企業じゃ買えないような、大きいバイオマスの設備があって…
それは、村だから、お金を調達して買えるんですよ。
- 堀
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そっか…それを民間が活用する連携ですね。
昔から、産官学の連携…って、マジックワードのように良く使われてきましたけど、
結局、縦割りで、うまく行かない…という歴史があったと思うんですよね。
僕が社会人に成り立てのころに、よく言われたんですけど…西粟倉の場合は、
役場の方が、民間に対して、口は出さない。
好きなことをやってくれ…という関係が、すごくいい循環を呼んでますよね。
- 大串
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思い出深いエピソードなんですけど、
村の方が、実際に重機を動かしてた時に、我々の撮影のために、
上山さんが、『〇〇さん~それ止めてよ~?』って言ってくれたんですよ
- 堀
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近い!関係が近いね(笑)
- 大串
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そう!そういう関係性なんですよ!笑
- 徳田
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結局、その重機の方も一緒に写真を撮ってね(笑)
でも、信頼関係は感じましたよね!絆みたいなモノを感じました。
- 堀
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やっぱり、民間と行政って、言葉も違うし、カルチャーも違うじゃないですか。
いかに、共通言語を作っていくのかっていうのが大切なんだと思うんですけど、
今のお話、聞いてると、やっぱり西粟倉村は、
民間事業者と、丁寧なコミュニケーションを取ったんだなーって…
それが、育まれて、『あ、っていえば、うん』っていうような共通言語が
そこにあるっていうのを感じますよね。
- 大串
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ね!みんなは、上山さんがスーパー公務員だっていうのを知らないかも知れない。
- 堀
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すごいですよー!みんなドンドン検索してほしい!
すぐ検索してください!(一同:笑)
- 徳田
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最後に、気になっていること、
木材の用途がドンドン増えてきて、林業の収益、経済効果がどのくらいになるのか?
ぶっちゃけ聞いてきました!
経済効果
- 大串
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実際の取り組みが進んで、どのくらいの経済効果があったんですか?
- 上山
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この事業(100年の森構想)を始める前が、林業が1億円程度だったんですけど、
いま、9億円近くになっていまして、130人くらいの雇用があります。
ただ、単純に、山の整備だけを見ると、村が年間3,000万円くらい、
赤字の部分を補助しています。
その代わり、アイターンの方が、140人くらいお住みになられていたり、
ベンチャーの経済効果などを考えると、投資としては、そんなに悪くないかなと。
しかも、再生可能エネルギーで収入は取りますので、資金を回していますので、
財政への負担はそんなに無いですね。
- 大串
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若い人も増えてますよね?
- 上山
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そうですね。取材に協力してくれた岡田社長をはじめ、
若い林業従事者が増えてます!
- 大串
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め…珍しい!
(一同:笑)
- 徳田
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最初は、林業に携わる人がいなくなるから…って言ってたくらいなのに、
いまは、若い人が増えている…という!
- 大串
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日本の森林は、森林組合ってところが管理する担い手になっているんですけど…
60歳でハナタレ小僧っていう…そういう世界なんです。
- 堀
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うわうわうわっ!そうですか!
還暦を迎えて、まだまだ若手!
- 大串
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70歳が主力のメンバーです
- 堀
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岡田社長は貴重な存在ですね(しみじみ)
それこそ2000年代、中国山地が過疎高齢化に喘いでいて、
その頃から、限界集落という言葉があったんですよ。
当時、取材をしても、中国山地は、限界集落で、やがてなくなると…
だから、無くならないために何ができるのか…という観点で取材をしてきた。
ある意味、どう残すかっていう話ばっかりやってた。ところが、西粟倉村のケースが気づかせてくれるのは、
ある程度、色んなモノが無くなっていく過程に、『どうぞ場はあるから、新しいことを好きにやっていい!新しいことをやりましょう!』
という呼びかけをすることによって、
やっぱりこれまで地域を縛っていた慣習だったりとか、古くからの様々な空気感…そういうモノを打破してくれる
外の若いチカラっていうのが、地域をまた再生させていく。よそ者が入ってくると、地域が壊されるんじゃないか…っていう恐怖感があると思うんですけど、
いまの若い人や起業家などを見ていると、地域に根ざしたモノを大切にしながら、新しいモノを生み出すチカラがあるなっていう期待を感じるんです。
- 徳田
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お話しは尽きないですが、
続きは来週。
引き続き、よろしくお願いいたします。
